戸澤の週報

2023年08月20日

変化におけるジレンマ

今の時代が大きな変化の時期であることは、皆が肌で感じているところだと思います。
最近の日本の情勢を見ていると、様々なところに変化の兆しがあります。
30年続いていたデフレに終止符が打たれる可能性が出てきました。
最低賃金も上昇しており、企業の賃金の上昇も従来よりぺーズが上がっているように見えます。
金利の上昇も機会をうかがう局面に入ってきたようです。
企業のコーポレートガバナンスの向上や設備投資を始めとする投資活動に対する考え方の変化も見られます。
上記の要因に加えて、東証の様々な改革も相まって、日経平均は年初に2万5000円ほどだったものが、現在は少し下がっていますが、6月には3万4千円に迫りました。
これはバブル期の過去最高値である3万8915円にかなり近づいたと言えます。
2023年1~3月期の名目GDPの年換算金額も2015年のアベノミクスで掲げた600兆円に近づく572兆円となりました。
 
ここまで見ると良かったなとなりますが、実態はもう少し違う見方が出来そうです。
上記に挙げた変化にたどり着くのに30年かかっているということです。
他の国では、足踏みをせずに着々と進めていたものを、30年かかったようやく取り組んでいるとも言えるのです。
日本らしいと言えばそれまでなのですが、理由のひとつには30年間続いてしまったデフレにあると考えられます。
私が小学生のころには定期預金の利息が6%位と、現在のアメリカの金利と同じくらいです。
この金利は1億円あれば、税金を考慮しないと利息だけで年間600万になるということです。
それだけでも暮らしは成り立ちますね。
ラーメンの価格は350円くらいでした。
最近こそ価格が上がっていますが、長い間500円から600円くらいで止まっていました。
卵などは物価優良児と言われ、30年間ほとんど価格が変わっていなかったのではないでしょうか?
そのように考えると、これら経営を行っていく上での重要な前提が変わらない中で、大きな変化を行うことは難しかったのかもしれません。
世の中の情勢に変化していかなければ、取り残されてします。
しかし、変化をするということは今まで自分たちが行ってきたことを否定することになる。
どっちをとっても生まれるデメリットがあり、ジレンマとなっていたのではないでしょうか?
 
人が変化を迫られた時に、生まれる本能の感情は、「快」「不快」で言ったら「不快」です。
それでも変化が日常にあり、変化こそが常態だと言える環境であれば、もう少し訓練されていたと思うのです。
そもそも変化に対することで自分自身への否定でもなんでもなくて、OSのアップデートみたいなものです。
人間どうしても変化を求められると、誰もそんなことをする意志はないのにも関わらず、自分自身の人格まで否定されてしまった錯覚を起こしてしまうものです。
変化をOSアップデートと捉えると、世の中の脅威に対応するための機能を追加することであり、生産性を上げるための新しい考え方の追加であると考えられます。
従来必要だったことも、現在いらなくなっているものは、削除されることでしょう。
会社や国、そして様々な組織が、世の中の変化に即応するオペレーションシステム(OS)のアップデートの発想こそ、これからの思考標準としても良いのかもしれません。
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