戸澤の週報
2025年09月06日
新しい視点
台風一過の好天となっています。
まだまだ残暑が続きそうですが、所々で秋の気配を感じるようになってきました。
留まるところなく季節は動いていることを実感します。
最近新しい視点を得ることができましたので、ご紹介したいと思います。
歴史学者である與那覇潤(よなはじゅん)さんは日本の近代史を、一般的な「西洋化」ではなく「中国化」の軸から比較しました。
日本は長期に渡り中国文明と衝突・交流・受容を繰り返してきたと言います。
著書である「中国化する日本」では、900年代からスタートした宋王朝からの中国のスタイルと日本のスタイルを比較しています。
中国は皇帝への権力集中や科挙による人材登用など、中央集権と統制を特徴とし、日本は江戸時代の鎖国のように内向きで世襲制を基盤にしながらも、比較的市場原理を許容してきました。
こうした比較を通じ、私たちが当然と思っている日本の近代化が、実は隣国・中国との関わり抜きには語れないことに気づかされます。
つまり「外側から自国を相対化する視点」を学ぶことができます。
一方でブラジルのパウロ・コエーリョ氏による「アルケミスト」は、全く別の新しい視点を教えてくれる良書だと思います。
羊飼いの少年サンチャゴが「夢を追い求める旅」を通じ、世界の意味と自分自身の運命に気づいていく物語です。
「マクトゥーブ(書かれているもの)」という言葉が繰り返し出てきますが、それは運命はあらかじめ定められており、それに全力で応じるとき、世界が味方してくれるという考え方です。
この物語からは「内側の運命を引き受け、自らを刷新する視点」を学ぶことができます。
本当の幸せは決して自分の外にあるものではなく、自分の内面にあることを旅を通して学びます。
旅を通して、もう一つの大切な概念である「今、ここ」を学びます。
目の前のことからしか幸せを感じることはできないのですが、人は目の前のことを大事にできないことが多くありますね。
この物語の最後に、自分が探していた宝物は、最初から持っていることに気が付くことで話が終わります。
いずれも同じ世界をどのように捉えるかによって、全く違うものが見えてくるということを教えてくれました。
今自分自身で一番興味があることは、リベラルアーツです。
リベラルアーツとは、新しい視点の獲得が大きな目的に一つであろうと、最近おぼろげながら理解することができてきました。
学ぶほどに、遠くなる感覚で、世界は本当に奥が深いなと感じます。