戸澤の週報
2025年09月27日
スターバックスに学ぶ
9月も終わりを迎えようとしています。
まだ30度を超える真夏日もありますが、秋の様子が深まってきています。
そろそろ食卓に秋の旬のものが並んできますね。
街を見渡してみると、喫茶店と言われる店が多くあります。
その中でも独自の存在感を誇っているのが、スターバックスです。
1971年にアメリカのシアトルで操業。
当初は焙煎コーヒー豆と器具を販売する店でした。
1987年にハワード・シュルツ氏がオーナーからスターバックスを買収してから、現在のカフェとしてスタートしました。
1990年代に全米に進出し、1996年には日本での1号店を銀座にオープンして以来、日本でも高い人気を誇っています。
中興の祖であるシュルツ氏は1998年に「スターバックス成功物語 日経BP」にて書籍を残してくれています。
その中で、苦しかった幼少期から、スターバックスに入社し、その後買収してからの苦労の詳細を記載してくれています。
この内容は多くの経営者だけではなく、自分の仕事に誇りを持ち、やりがいを感じて働きたいという人に多くの示唆を与えてくれます。
本の中で、小さな会社から大企業に生まれ変わる様子が描かれていて、舞台裏である裏方の価値について触れています。
フットボールの世界では「得点するのはオフェンス、チームを勝利に導くのはディフェンス」と、よく言われるそうです。
起業家が率いる会社において、得点をするためのオフェンスで、大きな問題になることは少ないのではないかと思います。
会社全体が高い付加価値を創り上げる業務に注力できるかポイントです。
若い企業が成熟に至らない理由は、その活動を支援するための組織の構造化や事業運営体制の構築を怠ることとあります。
最高のコーヒー豆、最高の焙煎技術、バリスタを始めとする従業員の高いレベルの教育、フランチャイズではない、直営店にこだわりを持ち、全てはお客様の最高の経験のために力を費やしてきた様子が描かれています。
そのように強い意志を持ちながら、最後の勝敗を決めるのは裏方であるディフェンスであるというところにスターバックスの本質を見た気がしました。
仮に最強のオフェンスがあったとしても、ディフェンスが機能していなければ、オフェンスが守ることになります。
オフェンス本来の役割を果たせないのでは、最強のオフェンスの意味がありません。
つまり、どんなに優れた戦術(オフェンス)があっても、それを支える組織体制(ディフェンス)がなければ成果は続かない。
ここに私たちの学びがあると感じました。
また、もう一つ興味深いのが、30店舗ほどの時にテーマになった「ノンファットミルク」です。
カフェラテやカフェオレに入れるミルクの成分に対する葛藤があったと言います。
シュルツ氏は当時、最高のコーヒーは本物の材料を使うことでしか成し得ないと考えていました。
当然ミルクも成分無調整の全乳(脂肪分が3~4%)を使っていました。
しかし、顧客の一定数がノンファット(無脂肪)ミルクを希望していたようです。
経営者として。強い葛藤があったようですが、最終的にシュルツ氏は無脂肪や低脂肪のミルクを導入し、顧客に選択肢を持たせることにしました。
その後、スターバックスのカフェラテやカフェオレの半数近くがノンファットミルクとなったようです。
この本の良い所は、このように経営者としての葛藤を共有してくれている点です。
なかなか、経営者の葛藤を知ることは難しいので、非常に参考になります。
また、実際に下した判断がその後どうなったのか歴史的な検証できることも、大いに参考になります。
この話を読んで考えたのは、カリフォルニアロールを代表とする、ロール寿司です。
私は初めてロール寿司を聞いた時に、本物の握りずしの味を知らなくて残念だなと思いました。
しかし、実際に食べてみるとどうでしょう。
驚くほどおいしいのです。
分かっていなかったのは自分の方だったのですね。
以来、アメリカに行った際には、必ずロール寿司を選ぶようになりました。
そんなスターバックスでも、幾度も危機に見舞われて、その度に原点に返り、復活しています。
この本を読了し、組織が大きくなるために、経営者がどのように自己をアップデートしていくか、少しわかった気がしました。
うまく行くためには、それに相応する正しい原因作りが必要なのですね。