戸澤の週報
2025年10月11日
シェアを守る
すっかりと秋になりました。
この涼しさに、体がまだ適応しきれていません。
あの熱さに比べれば、はるかに楽だと思うのですが、体の不思議ですね。
今週はお客様の業界におけるシェアを考えてみたいと思います。
当社には多くの顧客が、多くの製品を作っています。
この製品のことを半導体・電子部品業界では「用途」という意味で、アプリケーションと呼びます。
最近、このアプリケーションの重要性を再認識しております。
電子部品は用途ごとに必要な部品が大よそ決まっています。
よって、顧客のアプリケーションを知ることができれば、大概の構成部品が予測することができるのです。
そのため、自社の取り扱い製品で顧客の製品に紹介できるものが特定できます。
前から知っていたことですが、改めてその大切さに気が付きました。
当社のサービスもアプリケーションを軸にしたものを開発していく必要があります。
開発部門よりの技術支援である「アプリケーションエンジニアリング」の機能を、今後はしっかりと伸ばしていきたいと考えています。
お客様にとってのアプリケーションとは、自社の製品そのものです。
日本の最大手の電子部品メーカーである村田製作所は、先日の日経エレクトロニクスの取材にとても興味深い回答をしていました。
現在は世界シェアNO.1であるが、政府の補助を受けた競合会社が低価格を武器に、低価格帯のボリュームゾーンを攻め込んできています。
従来の日本企業は、このように攻められるとボリュームゾーンをあきらめて、高付加価値のハイエンドの製品に移行します。
そして、ボリュームゾーンで力を付けた競合会社に、技術力でも追いつかれ、気が付いたら全てのシェアを取られて撤退せざるを得なくなるケースが多くありました。
DRAM、薄型テレビ、太陽光パネル、リチウム電池などがまさにそうです。
しかし、今回村田製作所は競合からの挑戦を真っ向から受けると言っています。
例え利益率を下げても、品質は下げずにボリュームゾーンを守り抜き、競合の成長の芽を摘んでしまおうという考え方です。
もし当時この発想が共有されていれば、状況は違っていたかもしれません。
それでも、過去の学習を活かして今回の村田製作所の意志決定になっているのであれば、良かったのかもしれません。
決して簡単な道ではないと思いますが、心から応援しております。
当社のお客様に目を向けますと、同じように、多くの会社が競合の挑戦を受けています。
シェアを落とすということは、単に売上が下がるということだけではなく、それだけ競合が強くなるということです。
撤退して他の製品に注力できる会社は良いのかもしれませんが、専業でやっている会社は、シェア低下は命を落とすことになりかねません。
顧客の経営層はこのような強い危機感を持って日々の業務に当たっていますが、我々供給側が同じ目線を持ち、同じ熱量で対応しなければいけません。
いつの時代もそうなのかもしれませんが、生き残りの戦いは常に命がけであるということなんだと思います。