戸澤の週報
2025年04月27日
半導体商社に求められる新たな視点 ~世界との繋がり~
気持ち良い春の陽気が続いています。
一年で一番過ごしやすい時期になりました。
何か新しいことを始めたくなりますね。
今週は当社が属する半導体商社の業界を考えてみたいと思います。
日本の半導体商社は取引の額に対して会社の数が多すぎると長いこと言われてきました。
そして、米国に遅れること20年で、日本も会社の統合が進んできています。
半導体商社には、「DAFS:日本半導体・エレクトロニクス商社協会」と言う業界団体があります。
そこには40社を超す会員がいて、様々な会社の現状を聞く機会があります。
一番のテーマは「変化にどのように対応するか」だと感じています。
私がこの業界に入った1997年当時は、大きくは日本と言う枠組みの中でビジネスを捉えていれば問題ありませんでした。
日本に強い顧客も多くいて、日本の半導体メーカーも強く、世界のエレクトロニクスの中で存在感が大きかったためです。
今は違います。
日本の工場で大量に部品を買っている会社は限られています。
日本の半導体メーカーの多くは統合されたか、弱体化しています。
その中で、多くの半導体商社はその「付加価値」を問われ続けています。
その結果、大手資本の傘下に入り生き残りを決める会社が増えています。
同じくらいの規模同士の会社統合も出てきています。
いずれも資本を厚くし、規模を大きくすることによる競争力を勝ち取ることを選択しました。
この30年の我々の業界を見ていると、日本の弱体化の歴史を見ているようですが、決してその見方は正しくないと思います。
この30年は、日本が世界とつながった歴史だと思うのです。
島国である日本は、地球と言うグルーバルな世界と繋がりつつも、独自の世界を築き上げていました。
半導体やエレクトロニクスの製品がより高度化していくと同時に、様々な製品が世界中で分業化が一気に進みました。
その結果、日本も多くの製品の一つのサプライチェーンの中に組み込まれていきます。
その過程で世界の最先端に対応し、今なお競争力を持っている会社もあります。
東京エレクトロン、アドバンテストなどの半導体の装置メーカーなどですね。
半面で、多くの日本の半導体メーカーのように戦いに敗れていった会社もあります。
世界には国ごとにマーケットがあり、一見独自に存在しているような気がしますが、実は繋がっています。
これから我々が考えなくてはいけないのは、この広い世界との繋がりだと思うのです。
自分がどう思おうが、既に自分たちの組織は世界から取り込まれており、その役割を果たしています。
問題なのは、そこに気が付いていないことです。
世界との繋がりは双方に多くのフィードバックを与え合っているはずです。
そのフィードバックを確実に認識し、向き合うことで、その会社の世界におけるポジションが高まっていくのでしょう。
そこから初めて、自分たちの意志が生まれてくるのが、正しい順番なのかもしれません。
目線を内から外に移し、広い世界を一つのマーケットと捉えて、分断して考えないと言うことだと思います。
これからの当社、そして日本の半導体商社が持つべき視点なのでしょう。