戸澤の週報
2026年08月29日
道なき道を進む
この度、電子デバイス産業新聞に2回目の寄稿記事を掲載いただきました。
今回は「オンラインディスティ」について検証しています。
当社が創業した2000年当時は、まだオンラインディスティとは言わず、カタログディスティと呼んでいました。
分厚いカタログから製品を探し、FAXや電話でオーダーするのが一般的な時代です。
その後、販売の中心はWEBへと移行し、オンラインディスティは爆発的な成長を遂げていきます。
日本への進出順に見ると、RSコンポーネンツ、DigiKey、Mouserなどが、現在では世界を代表するプレイヤーとなっています。
大量の在庫を倉庫に持ち、必要な製品を必要な数量だけ、世界中へ素早く供給する。
このビジネスモデルは、変化の激しいエレクトロニクス産業に深く受け入れられました。
現在では、大量の量産需要を支える商社と、小中量・多品種を素早く供給するオンラインディスティが、それぞれの役割を担うようになっています。
一方、日本国内を見ると、独立系オンラインディスティは非常に限られています。
なぜ日本ではオンラインディスティが育たなかったのか。
いくつかの理由が見えてきます。
一つは、日本のサプライヤーと既存商社との強い関係です。
新しいオンラインチャネルを追加することに、当初は必ずしも積極的ではありませんでした。
一方、海外メーカーはオンライン販売の価値を早くから認識し、「量産」と「オンライン」のチャネルを分けて代理店網を整備していきました。
現在では日本のサプライヤーもオンライン販売を積極的に取り入れています。
しかし、もし2000年代初頭に、日本の大資本を持つ企業が本格的にオンライン販売へ投資していたら、現在とは違う景色になっていたかもしれません。
もう一つは顧客側です。
日本企業は商社との関係が強く、オンラインで部品を購入することへの抵抗がありました。
私自身、日本でオンライン購入が広く浸透したと実感したのは、コロナ禍の部品入手難の時期です。欧米から約10年遅れてのことだったように感じます。
そして、日本の顧客がオンライン購入に抵抗を感じるもう一つの理由が「サポート」です。
量産で使用するためには、PCNへの対応、不具合解析、技術的な問い合わせなど、様々なサポートが必要になります。
オンラインだけでは、こうした要求に十分応えることが難しい。
このような理由から日本での浸透には時間がかかりましたが、最近ではグローバル競争の中で「時間価値」がますます高まり、
日本企業もオンラインディスティを積極的に活用するようになっています。
当社は、このニーズにハイブリッドで対応しています。
デジタルでは、オンラインで販売する在庫ラインナップを強化する。
同時にアナログでは、人による顧客サポートにも力を入れる。
「オンライン × アナログサポート」
この二つを本格的に一つの組織で実現する商社は、世界を見渡しても決して簡単ではありません。
これは、日本独自の顧客ニーズに向き合い続けた結果、私たちがたどり着いたスタイルです。
日本では「オンライン+アナログサポート」は、すでに顕在化したニーズだと思います。
一方、海外の多くの市場では、まだ十分に顕在化していないニーズとも言えます。
一つの組織の中に、性質の異なる二つの機能を持つことは簡単ではありません。
デジタルとアナログ。
効率とサポート。
スケールと個別対応。
相反するもののバランスを取りながら、両方を成長させていくことは、一つに特化するよりはるかに難しい。
だからこそ、やる価値がある。
このハイブリッドという考え方は、会社のビジネスモデルだけの話ではありません。
オンラインを強くするためには、在庫を増やし、検索しやすくし、自動化を進め、できるだけ人が介在しなくても完結できる仕組みを作る必要があります。
一方で、人が介在するからこそ提供できる価値については、むしろ今まで以上に高めていかなければなりません。
デジタルでできることは徹底的にデジタルへ。人にしかできないことは、もっと人らしく。
これら両方を進化させることが、私たちが目指すハイブリッドだと考えています。
この道なき道を切り開き、日本発のグローバル商社を目指していきたいと思います。










