戸澤の週報
2026年09月19日
「予測は外れる」を前提にした調達へ
今回の電子デバイス産業新聞の寄稿記事には、偽造品と余剰在庫について書きました。
現在のように部品の納期がタイトになると、製品の入手が困難になることは新聞を賑わせます。
一方で同時に偽造品のリスクが高くなっていることを伝える記事はほとんど見かけません。
極論を言えば、全てがメーカーから出荷を保証された正規品で購入できるのであれば、それに越したことはありません。
しかし、半導体の市況サイクルの中で調達が一時的に難しくなることを完全に避けることは並大抵のことではありません。
現在ではApple社ですらメモリの確保に動いていると聞きます。
大切なことは偽造を含む、品質のリスクと正しく付き合うことです。
では、メーカーへの直接発注以外には、どのような調達ルートがあるのでしょうか?
一つ目は、当社も含めたWEBで販売している正規代理店です。
これらは、仕入元がメーカーですから偽造品のリスクは極めて低いです。
一般的に市場品と呼ばれるものの中には、セットメーカーやEMSメーカーなどが市場に放出した余剰在庫があります。
メーカーから購入された正規品が市場に放出されたものであれば、偽造品リスクは低くなります。
一方で、流通履歴が長くなるほど、その履歴を確認することが重要になります。
偽造品の心配がないと分かれば、次に酸化などによる経年変化を検査することが大切です。
濡れ性検査などが有効な一手です。
また、EOLに関しては、直接メーカーからは購入できないので、市場から購入することがそもそもの前提です。
大切なことは市場品とどのように付き合うかの方法論だと思います。
偽造品のリスクに応じた検査内容をきちんと整備して、実行する。
偽造品判断のポイントを検査会社と顧客と共有し、根拠を持って製品を搭載することが大切です。
「市場品だから危険」「正規流通以外は禁止」としてしまえば、管理は簡単です。
しかし、それだけでは現在の調達環境に対応できなくなりつつあります。
必要なのは、市場品を一律に排除することではなく、リスクを見極め、安全に使うための仕組みを持つことだと思います。
同時に、余剰在庫に関する考え方も大きく変わりました。
ジャストインタイムを実現させることも、過去と比較して難易度が飛躍的に上がっています。
市況の好調時には実質不可能と言えるかもしれません。
むやみに多く買うことを推奨しているわけでは決してありません。
しかし、多くの日本の産機業界の部品の購買力を考えると、ある程度、実オーダーという『実弾』を先の納期まで入れておく必要があります。
どの製品がどのくらい出るかを予測することは非常に困難です。
AIの時代になって、恐らく人間が気付いていないことに気が付けることもあるでしょう。
それでも、完全な予測をすることはできないのです。
それであれば、完全な予測はできないということを前提に業務プロセスを設計することが必要です。
一定数余ることを織り込んで、余剰在庫を販売できる仕組みを持つ。
一定数不足することを想定して、市場在庫の品質リスクを抑えながら入手できるプロセスを整備する。
完全な予測はできない。
だから、予測を当てることだけに力を注ぐのではなく、予測が外れても困らない仕組みをつくる。
余った時にも、足りない時にも対応できる。
それが、これからの調達に必要な力ではないでしょうか。
偽造品調査や濡れ性検査、そして余剰在庫の削減は、当社ではすでに標準サービスとして提供しています。
まだお使いでない方がいましたら、ぜひ一度お試しください。
従来の「調達」だけでは得られなかった、新しいリソースの獲得につながると思います。
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