戸澤の週報
2025年10月18日
逆境を考える
今年もまた、金木犀の香るこの季節がやってきました。
ふわっと漂うこの花の気配は、1年の経過を静かに教えてくれます。
どこかで、自分が励まされているような気がするので好きな花です。
例えば目の前になかなか乗り越えられないような高い壁があったとします。
世の中に起こる一つ一つの出来事には意味があると考えています。
また、乗り越えられない試練が、目の前に現れることもないと思います。
人生の要所に立ちはだかるこの高い壁は一体何を意味するものなのでしょうか?
自分自身の理解では、この高い壁は、何か根本的に方向性を変え、大きく成長すべき時に現れると考えています。
今まで心のどこかでやらなければいけないと思いつつ先延ばしにしてきたことが、限界を迎えた時とも言えるかもしれません。
物事には時機というものがあります。
その人や組織において、高い壁がやってきたということは、問題を解決し、次なるステップに進むためのチャンスが到来したと考えて良さそうです。
私たち一人ひとりが考え・行動し・失敗を糧に成長していく時代への通過点だと思っています。
この壁を超えることが、新しい形の始まりです。
それでは高い壁が現れた時にどう対応すべきか、2つ具体的な話をしたいと思います。
1つ目は「成功率を上げたければ、失敗率を上げること」ということです。
答えを出そうと一生懸命に考え・動いたことでも、多くの失敗をします。
しかし、失敗が増えてくれば、間違っていた方法が明確になります。
結果、少しずつ成功に近づいていくものです。
よって、成功したいのであれば、より多くの失敗を重ねる必要があるのです。
始めからうまく行くようなことは、成功の成果も大きくありません。
大きな果実を得ようと思えば、たいてい自分の予想以上の努力が必要なものです。
失敗の数がある臨界点を越えたとき、量が質に転化し、見えてくる景色が変わります。
2つ目は「have to」からの卒業です。英語では「しなければならない」を表す言葉に「have to」があります。
この言葉は「やらされていて、しなければならない」です。
誰かにやりなさいと言われて、するイメージです。
我々が目指すべき「しなければならない」の意味を表す言葉は「must」です。
この言葉は、自分の責任感から生まれる内的な動機を表します。
つまり、「have to(外的義務)」を「must(内的動機)」に転換することが高い壁を超えるのに求められる変化と言えそうです。
当社では昔から、ポジティブなmustで考えることができる人を「自燃性の人間」と呼んでいます。
何をやっても燃え上がらない「不燃性」。
火を付ければ燃える「可燃性」。
自燃に目覚めた人間は、自らに火をつけることができます。
また、その火を周りの可燃の人に移すことができます。
目の前に高い壁が現れた時には、その人や組織が、「自燃」への移行を強く求めていると考えるのが一番しっくりと来ます。
世の中にとって本当に価値のあるものに生まれ変わるために必要なステップなのでしょう。
そのように考えると、逆境というのも悪いものに見えてこないから不思議なものです。
実際に逆境よりももっと怖いのは順境だと思いますが、この話はまた別の機会にできればと思います。
逆境を楽しめるような人になれるようにしたいですね。









